研究室の紹介


 

動物

研究内容は大きくいって基礎生態学と保全生態学に分けられ、多くのものはその両方にまたがっています。対象としている動物は哺乳類が主体ですが、両生類や昆虫を手がける学生もいます。また個々の種を調べる人もいれば、種間関係、さらには動物と植物との関係や、群集研究に取り組んでいる人もいます。
研究の基本は「生き物への尊重」ということにあります。現在の地球上の野生動物は多かれ少なかれ、人間活動の悪影響を受け、中には絶滅に瀕しているものもいます。そのことへの反省から、動物の苦しみを軽減するために役立ちたいと考えておこなっている研究もあります。また動物をよく観察すると、実に巧みな生き方をしており、それは行動だけでなく形態などにも見いだすことができます。それは長い進化の産物ですが、そうした生き様をみるにつけ、すなおに「敬意」に近い思いが生まれます。「生き物への尊重」にはそういう意味も含まれており、そうした動物のすばらしさを調べて示すことを追求している人もいます。
また最近ではそうして調べた成果をいかに発表し、市民や子供に生き物のすばらしさを伝えるかを考え、そうした活動に力を入れようとしています。
学生諸君には自分の興味のある生き物やテーマについて教員と十分に話し合って、地道な努力をしてもらっています。若手は教員や先輩の調査や分析に参加しながら、知識や技術を習得し、教員や先輩は後輩にアドバイスをするよう心がけています。


研究内容
高槻成紀:HPはこちら
宮城県金華山島のニホンジカと群落の関係:日本で最も早くからこのテーマがおこなわれた場所であり、高槻は1970年代からここの調査を継続している。牡鹿半島のシカの保全生態学:この10年以内に急激にシカが増加し、現在では1000頭以上が駆除されるまでになった。植生も急激に劣化している。
アファンの森の生き物調べ:C.W.ニコル・アファンの森(長野県黒姫)と麻布大学は学術交流協定を締結し、交流をしている。森林管理の違いが生物にどういう影響を与えるかを調べている。町田里山の生物調査:キャンパスに近い町田市図師にある里山でこれまで哺乳類、甲虫、カエルなどの調査をしてきた。
モンゴルの野生動物学研究室:科学研究費などにより、これまでモウコガゼルの季節移動、シベリアマーモットのマウンド形成と生物多様性、放牧がおよぼす訪花昆虫への影響、タヒ(野生馬)とアカシカの種間関係、オオカミなど肉食獣の食性比較などの調査をおこなってきた。
そのほか、日本各地のシカの食性、八ヶ岳の野生動物の調査、東京都日ノ出町の廃棄物処分場跡地の動物調査などもおこなっている。またこれまでヒグマ、ツキノワグマ、ニホンザル、カモシカ、ジャワマングース、タヌキ、ジャイアントパンダ、アジアゾウなどの調査をおこなった。

南正人
宮城県金華山島のニホンジカの行動生態学的研究:20年以上の長期追跡によって識別した個体のシカの社会や行動様式を明らかにし、その進化を調べてきた。ニホンジカの音声:シカの音声行動の記載とその意味を行動観察と実験から明らかにしてきた。長野県浅間山の哺乳類の生息状況:ニホンジカの急増の過程とそれによるカモシカやツキノワグマなどへの影響をセンサーカメラ等を使って調べ始めている。
環境教育のプログラム開発:実際の生物の観察を基にした科学的な視点を提供する環境教育プログラムの開発行って来たが、その効果測定についても調べる予定。
そのほか、ツキノワグマの行動と保護管理手法の研究、ムササビやヤマネ・リスなどの分布や行動についての調査などを行った。


平成25年度メンバー、大学キャンパスで


山梨県早川にて


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