高槻成紀(教授)







昭和24年12月12日生


略歴

 昭和53年 3月 東北大学大学院理学研究科修了(理学博士)
 平成6年  6月 東京大学大学院農学生命科学研究科 助教授
 平成9年  2月  東京大学総合研究博物館 助教授  
 平成
19年 1月 東京大学総合研究博物館 教授
  
 平成
19年 4月 麻布大学獣医学部 教授

 



メッセージ
 学生時代にであった金華山島とそこの動植物を観察することから生態学の研究を始め、それは今でも続けています。生態学は自然をトータルにとらえようとする学問であり、博物学的な知識を必要とする学問でもあります。それだけに時間をかけて地道な調査が不可欠です。私は多くの人々の協力を得て、金華山のシカの頭数変動や植物への影響などについて息の長い研究をすることができました。また岩手県の五葉山のシカに取り組んでからは人の野生動物の問題の重大さに気づき、保全生態学的な研究にも力を入れるようになりました。東京大学時代に大学院生とおこなったヒグマ、ツキノワグマ、ジャワマングース、オガサワラオオコウモリなどの研究は保全を指向したものです。これらの研究のなかで哺乳類の食性がひとつの大きな比重を占めています。それは偉大な生態学者エルトンが指摘するとおり、動物の生活にとって「食」がきわめて大きな意味をもっていると考えるからです。そしてさまざまな哺乳類の食性を定量的に分析することに力をそそいできました。このことは消化器官の解剖学的特徴や、栄養状態、生息地選択、さらには種子散布など多くの研究テーマに展開しました。


 またアジアの野生動物の保全はきわめて重要であるとの考えから、モンゴルのモウコガゼルやタヒ(野生馬)、シベリアマーモットなどについて生態学的研究を進めています。スリランカのアジアゾウの保全生態学も手がけていますが、現在は調査環境が不安定なため一休みしています。


 20世紀が野生動物の受難の時代だったとすれば、21世紀はその反省に立って、人間と野生動物の関係を少しはよいものにしなければなりません。そのために保全生態学は有力な視点や知見を提供してくれるはずです。また基礎的な生態学によって動物の生き方を記述することで、そのすばらしさ、もしろさを解明することも保全の大きな力になります。私もそのような生態学を進めるために微力を尽くしたいと思っています。


 これらの成果は論文にしてきましたが、より多くの人に知ってもらいために専門書だけでなく一般向けの書物として公表する努力もしてきました。


 野生動物の保全を目指し、いっしょにがんばる若者の参加を期待しています。



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