南 正人(講師)


1957年(昭和32年)1月16日生

略歴
   1990年3月 大阪市立大学大学院理学研究科単位取得退学

   (1997年6月 博士号(理学)取得)

   1993年4月 株式会社星野リゾート入社 ピッキオ代表

   2003年4月 株式会社ピッキオ 代表取締役社長

   2008年4月 ワイルドライフコミュニティ研究所設立 

   2009年4月 麻布大学獣医学部 講師
 

 学生時代は、奈良公園を中心に北海道や屋久島、宮城県の金華山島で、ニホンジカの音声行動の研究をしていました。所属していた大阪市立大学動物社会学研究室は哺乳類・鳥類・魚類などを対象とした行動生態学的な研究が盛んで、そこで多くの研究者や学生と議論しました。その頃に、金華山で非常に多くのシカの交尾を観察する機会がありました。野生動物の交尾を観察できる機会はそれほど多くありません。どのメスとどのオスが交尾し子供を残すかを観察することは、それぞれの個体の繁殖成功を調べる上で極めて重要です。繁殖成功の少ない個体は淘汰され、その遺伝子は滅びてゆきます。金華山では、どのような形質(形態や行動)を持った個体が生き残り繁殖できるかを調べることができると考えました。そこで、1990年に共同研究者と共に島内の黄金山神社周辺にいた150個体をすべて個体識別し、それから20年間彼らの子孫たちをすべて個体識別しながら、その生死や行動、繁殖成功を調べてきました。

 一方で、生き物の観察をしながらその興味深さを一般の人に伝える環境教育や、そのような活動を持続可能な形で展開するエコツーリズムの実践に関わってきました。おもに長野県の軽井沢や浅間山麓を中心に、その地域に生息する動植物を調査し、その結果を知的エンターテイメントとして楽しく伝えるプログラム作り、そのプログラムを実施する自然ガイドの人材養成に携わってきました。生態系や進化論、生物の生き方を知っている環境保全に熱心な自然ガイドが増え、彼らがその仕事で生計を立てられるようになったら、日本の自然はもっと残ると思います。

 エコツーリズムを保全のひとつの手法と考えて企業活動をする中で、軽井沢でのツキノワグマの被害防除に関わってきました。別荘地に出没するクマに発信機を付け、その動向を追いながら、そのクマに応じた対応をする個体管理という手法を行ってきました。どうしても被害を出す危険なクマは駆除することもありました。また、北米のクマ対策特殊犬「ベアドッグ」の導入にも関わりました。

 今年から麻布大学の教員となり、動物と彼らとのより良い関係作りに興味を持つ教員や学生の皆さんとご一緒できることになりました。野生動物をじっくり観察すること、そしてその生き方を科学的にも感性的にも理解し人に伝えること。これらを自らも行いながら、多くの学生の皆さんと共に発展させてゆきたいと思います。

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